パラスポーツとは
「Para(パラ)」は、「並行する」の語源から「もう一つのスポーツ」という意味があります。第2次世界大戦後、負傷した兵士のリハビリの一環が原点といわれ、当初は福祉的な意味が強いものでしたが、近年では競技性が高まると共に障がいの有無に関わらず取り組めるスポーツとしても広く捉えられています。
用具やルールを工夫することで、誰でも一緒に楽しめることはパラスポーツの魅力でもあります。
どんな工夫をしているの?
ルールの変更
一般ルールのままでは、障がいのためにできないことやスポーツとしての面白さが半減してしまうこともあるため、安全にスポーツを楽しめるルールを変えたりしています。
例えば、卓球テニスでは返球を2バウンドまでOKにしたり、陸上のユニバーサルリレーではバトンではなく、タッチで次の走者へつなぎます。
用具の開発
障がいによってできないことを補うため、様々な用具が開発されています。
例えば、競技特性に合わせて改良された競技用の義足や車いす(陸上競技用、バスケットボール用など)や、ボッチャでは投げられない選手はランプ(補助器具)を使用します。
クラスに分けて競技
障がいにも聴覚・視覚・肢体障がいなど様々な種類や程度があります。
パラリンピックなどでは同程度の障がいがある選手同士で公平に戦い合うため、種類や程度に応じたクラス分けをしています。
ポイント制度
チームスポーツでは、選手の障がいの程度によってポイントをつけ、出場選手の日合計数に上限を設けてチーム編成しています。
車いすバスケットボールや車いすラグビーなどで適用されています。
競技のご紹介
パラスポーツは競技の種類に決まりがあるわけではありません。今回は一例として、パラリンピックと静岡県障害者スポーツ大会「わかふじスポーツ大会」で行われている競技について、障がいの種類や程度によって工夫されたルールを中心にご紹介します。
競技については、「静岡県パラスポーツガイド」でもご覧いただけます。静岡県パラスポーツガイド.pdf

車いすバスケットボール
障がいの程度によって持ち点があり合計14点以内のチームを編成します。ボールを持ったまま車いすを3回以上こぐとトラベリング、またダブルドリブルはありません。
競技団体・活動団体
県ゆかりのパラアスリート

車いすフェンシング
車いすを固定した状態で戦います。フットワークによる間合いがとれないため、常に相手の射程圏内にあり、巧みな剣さばきや一瞬のかけひきが勝敗を分けます。

ゴールボール
アイシェード(目隠し)をつけ、鈴入りの専用ボールを投げて相手ゴールを狙う3対3のチームスポーツです。視覚以外の全ての感覚を頼りにプレーします。

シッティングバレー
コートにでん部(おしり)をつけ、座ったままプレーするバレーボールです。でん部が浮くと反則になります。コートが狭いためスピード感あるラリーが魅力です。
活動団体
静岡県ゆかりのパラアスリート

自転車競技
体幹に重度の障がいがある方はトライシクル(3輪自転車)、下肢障がいの方はハンドサイクル、視覚障がいの方はタンデム(2人乗り)など障がいに応じた自転車があります。
静岡県ゆかりのパラアスリート

射撃
ライフルとピストルの種目があります。障がいの種類と程度でクラス分けされ、使用して良い椅子や支持スタンドの規格が決められています。

柔道
パラリンピックでは、視覚障がいの選手が出場します。視覚障がい者柔道の場合、選手が組み合った状態からスタートし、声や音で位置や残り時間を伝えます。

テコンドー
パラリンピックでは、上肢に障がいのある選手が出場します。蹴り技のみポイントになり、突き技はポイントにならない、頭部への攻撃禁止など特有のルールがあります。

トライアスロン
スイム・バイク・ラン計25.75kmで競います。障がいに応じた自転車使用や視覚障がい者付き伴走ガイド、車椅子移乗時のハンドラーなどサポートにも注目です。

パワーリフティング
パラリンピックでは、下肢障がいの選手が出場します。一般のベンチプレスと異なり、上半身を固定した上半身の力だけで持ち上げます。

ブラインドフットボール
アイマスクを着用してプレーします。監督やゴール裏のガイドの声を頼りに、自分の鳴るボールで相手ゴールを狙います。フットサルサイズのコートで行われます。
静岡県ゆかりのパラアスリート

ボッチャ
コート内に投げた白ボール(ジャックボール)に6球ずつ持ち点球(赤・青)を近づけて得点する競技です。重度脳性麻痺など四肢に障がいある選手向けに補助器具も使用できます。
競技団体・活動団体
静岡県ゆかりのパラアスリート

陸上競技
レーサー(競技用車椅子)や義足・義足使用者、視覚障害者にはガイド(伴走者)が付き添う場合もあります。コーラーが踏切位置を伝えるなど、多様な工夫によって競技されます。
静岡県ゆかりのパラアスリート

ローイング
オールを漕いでボートの速さを競います。一般的なボートより座席をスライドしながら漕ぎますが、下肢障害の場合は座席・オール位置固定して漕ぎます。

ボウリング
ルールは一般と同様ですが、障がいに応じてガイドレールに沿った投球や、ハンドル付きのボールを投球することも認められています。

車いすダンス
車いすの方同士、または車いすの方と立位の方がペアで行う社交ダンスです。一般の社交ダンスと同様に、スタンダード5種とラテンアメリカン5種で競います。

車いすツインバスケットボール
下肢・上肢に障がいがある人でもプレーできるバスケットボール。高い位置と低い位置に2つのゴールがあり、障がいの程度によってショットエリアが異なります。

バスケットボール
ルールは一般と同様ですが、障がいに応じて試合時間短縮をしたり、男女混合チームを編成したりする場合もあります。全スポには知的障害者区分があります。

グランドソフトボール
10名のうち4名以上が全盲選手(目隠しをつければ誰でも可)の必要があります。全盲の投手が捕手の声や音を頼りに投球(ボールを転がす)します。

ソフトボール
全スポでは、知的障がいの選手が出場します。基本的には一般の女子ソフトボールのルール同様ですが、スライディング・盗塁・バントなどは認められていません。

フットソフトボール
ピッチャーがサッカーボールを転がし、キッカーが蹴って得点を競います。股の下から投げる独特なフォームや力強いキックが見所です。

サッカー
脳性麻痺選手によるCPサッカーや、足首切断等肢体不自由選手によるアンプティサッカーなど様々な種目があります。全スポには知的障害者のみ区分があります。